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書誌情報]
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日外会誌. 95(7): 466-472, 1994
原著
下肢静脈瘤に対する治療法決定のための下肢静脈造影法
-足部表在静脈圧測定による評価を含めて-
I.内容要旨従来からの上行性下肢静脈造影法に加え,深部静脈内にcatheterを挿入して造影剤を深部静脈内に注入する直達的下肢深部静脈造影法を新たに開発するとともに,簡便な下行性下肢静脈造影法を加え,これら3種類の下肢静脈造影法を用いて,下肢静脈瘤の診断ならびに外科治療法の選択基準を作成した.
下肢静脈瘤を有する84症例,120肢における上行性下肢静脈造影法による深部静脈の造影は,軽症の下肢静脈瘤症例では比較的容易であったが,重症例では下腿の圧迫を併用しても不明瞭なことが多く,また膝嵩静脈の造影所見は生理的な狭窄のために多くの症例で不明瞭であった.このような深部静脈の造影所見が不明瞭な症例を対象として直達的下肢深部静脈造影法を開発した.本法では,細く柔らかいguidewire (4F) とcatheter (0.018 inch) を使用することにより弁破壊をきたすことなく下肢深部静脈内へcatheterを挿入することが可能で,深部静脈の明瞭な造影,とくに従来不可能であった深大腿静脈の造影が可能となった.さらに,一次性下肢静脈瘤との診断を得た症例のうち, 52肢に対して下行性下肢静脈造影法を行ったが,膝関節以下への逆流を示す高度の深部静脈弁不全を伴った9肢は,いずれもうっ滞症状の合併が多く,難治性下腿潰瘍が認められた.
以上の3種類の下肢静脈造影法の所見に基づき,下肢深部静脈の明瞭な造影が得られた一次性下肢静脈瘤のうち,下行性下肢静脈造影法で深部静脈弁不全の程度が軽度で伏在静脈瘤を認める症例に対しては伏在静脈抜去術や交通枝結禁術を施行し,伏在静脈瘤が存在しない症例には硬化療法を施行した.また,深部静脈弁不全が高度であった症例に対しては,表在静脈や交通枝に対する手術と同時に,大腿静脈弁形成術を施行した.その結果,難治性の下腿潰瘍は術後早期に治癒し,最長25カ月の追跡においても再発は認められず大腿静脈弁形成術の有効性が確認された.
キーワード
下肢静脈造影法, 直達的下肢深部静脈造影法, 足部表在静脈圧, 下肢深部静脈弁不全, 大腿静脈弁形成術
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