[書誌情報] [全文PDF] (3883KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 95(7): 458-465, 1994


原著

三次元画像復構による非浸潤性乳管癌の構築

神戸大学 医学部第1外科

石川 泰 , 山本 恭助 , 斎藤 洋一

(1993年4月12日受付)

I.内容要旨
非浸潤性乳管癌における基底膜病変を解析すべく,多数連続切片を用い乳管の構築を三次元的に画像復構した.乳管相互の関係が判別困難な部位ではHE染色を脱色した上で基底膜成分 (Laminin) を免疫組織化学的に染色した.正常乳腺例にも同様の検討を加え,以下の結果を得た.
(1) Celloidin-Paraffin包埋法は免疫組織化学染色を併用した三次元画像復構に有用であった.
(2) 検索した3例の非浸潤性乳管癌では癌細胞では全て連続した基底膜に覆われていた.組織切片上で類円形をした癌胞巣は三次元的には癌細胞が充満して球型に拡張した小葉であった.
(3) 正常乳腺では乳管の走行は全て樹枝状に分岐し,乳管および小葉内細乳管同士の再吻合は認めなかった.一方非浸潤性乳管癌全例で小葉レベルの癌胞巣間に分岐後再吻合するネットワーク像が確認された.すなわち非浸潤性乳管癌において腺管単位の構造異型が存在した.

キーワード
非浸潤性乳管癌, 免疫組織化学染色, Laminin, 三次元画像復構, 構造異型


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。