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日外会誌. 95(6): 411-414, 1994


症例報告

心不全と腎機能不全を合併した腎摘出術後の腎動静脈瘻の1手術経験

聖隷浜松病院 心臓血管外科
*1) 現・東京女子医大 心研循環器外科
*2) 現・山梨県竜王外科温泉病院 

大澤 幹夫 , 酒井 章 , 川合 明彦*1) , 松山 徳大*2)

(1993年1月27日受付)

I.内容要旨
腎結核のため左腎摘出術を受け, 29年後に診断された腎動静脈瘻の手術を経験した.患者は71歳の男性. 21年前から高血圧性心不全のため薬剤管理と18年前から徐脈性不整脈のためpacemaker植込み術を受けていた.手術の3カ月前から薬剤抵抗性の鬱血性心不全に悩まされ循環器科へ再入院した際に,上腹部の連続性血管雑音から本症が疑われ,大動脈造影によって瘤状変化を併発した腎動静脈瘻が証明され,開腹して左腎動脈結紮術と腎静脈切断術を行った.術中のCVPは30cm水柱から14cm水柱へ低下した. しかし,術前から障害されていた右腎機能が手術後に悪化して, 3週後からは血液透析を余儀無くされた.他方,病悩期間があまりにも長かったためか期待された心機能の改菩は軽微であった.本症例を振り返り,早期の診断と治療の必要性が痛感されたが,その診断への糸口を掴むためには,本症を疑うことの重要性が再認識された.

キーワード
腎摘出術後, 腎動静脈瘻, 鬱血性心不全, 腹部連続性血管雑音


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