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日外会誌. 95(3): 171-178, 1994
原著
胃癌におけるEpidermal Growth Factor とその受容体の発現と DNA ploidy pattern 及び Nucleolar Organizer Regions との関連性
I.内容要旨胃癌切除症例68例における上皮増殖因子 (humanepidermal growth factor, 以下EGF) とそのレセプター (EGF receptor, 以下EGFR) の発現をABC酵素抗体法を用い免疫組織学的に検索し, これらと核DNA量及び核蛋白合成能との関連性を検討するために,細胞核 DNA ploidy pattern (顕微蛍光測光法) とnucleolar organiser regions (以下NORs,硝酸銀染色法) を検索した.その結果,EGF, EGFRの発現は,早期癌28例では各々2例 (7%), 1例 (4%) にのみ認められたが,進行癌40例では, 25例 (63%), 9例 (23%) と有意に増加した (p<0.01).また,進行癌では早期癌に比べ,DNA aneuploidy (異倍体) の頻度, NORsの個数の増加がみられた. EGF, EGFRの発現は,aneuploidを示す37例では,それぞれ19例 (51%), 9例 (23%) に認められ, diploid (二倍体) を示す31例 (EGF陽性8例,26%;EGFR陽性1例,3 %) に比べ,有意に高く (p<0.05),すなわちEGF, EGFRの発現は,核DNA量の増加と関連していた.さらに, EGF陽性例では,癌細胞1個あたりのNORsの個数が4.11±0.72であり, EGF陰性例 (2.68±0.61) に比べ有意に高く,核蛋白合成が亢進していた.
以上の結果より,胃癌におけるEGF,EGFRの発現は,早期癌から進行癌へ進展していく過程で増強し,核DNA量の増加と核蛋白合成の増加を促し,胃癌の増殖能を高めることが示唆された.
キーワード
EGF, EGFR, DNA ploidy pattern, NORs, v-erbB 遺伝子
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