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日外会誌. 94(10): 1118-1124, 1993
原著
腎性上皮小体機能亢進症に対する改良術式
ーsupernumerary glands を考慮してー
I.内容要旨腎性上皮小体機能亢進症では,上皮小体全摘術後も慢性腎不全状態が続く為,長期経過後には初回頸部手術時に発見されなかった異所性の上皮小体や微小腺が過形成をおこし,機能充進症が再発する可能性があり,再発例の報告もみられる.この頸部の再発を防ぐ新しい改良術式を考案し,30例の腎性上皮小体機能亢進症の患者に施行した.全例4腺以上摘出でき,6例には過剰腺(Supernumerary glands) が認められた.また3例に甲状腺不顕性癌が発見された.
手術方法は,両側上下の甲状腺動脈を結紫切断して上皮小体への血液遮断を行い,反回神経を全長剥離して,上皮小体4腺を摘出し,甲状腺癌の郭清に準じて両側総頸動脈外側より両側甲状腺労・気管労と気管前を脂肪織・リンパ節を含めて郭清する.両側胸腺舌区も摘出した.これで4腺未満しか確認出来ないときは,不明側の甲状腺片葉切除を追加してステルンハンマー染色変法を用いた迅速細胞診にて4腺以上摘出されたことを確認する. うち,80mgを細切して前腕筋肉内に自家移植する.
摘出上皮小体の1腺の重量は計測不能の微小腺から4,060mgまでに分布し計128腺存在した.摘出腺数は7腺1例,5腺5例,4腺24例と全例4腺以上であった.異所性腺の部位は胸腺内10腺,頸動脈鞘内より4腺,旁気管より2腺であった.胸腺内からは7例中10腺摘出された.過剰腺の存在を術前に予測できるかを検討した.画像診断の診断率はUS55%,CT 48%,
201Tl-
99mTcシンチグラム38%の順で共に低く,過剰腺の存在を予測し得た症例はなかった.また,全例を通して,反回神経麻痺は認めなかった.現在まで観察期間は最長5年と短いが,持続性上皮小体機能亢進症および再発例を経験していない.
キーワード
腎性上皮小体機能亢進症, 過剰上皮小体, 異所性上皮小体, 上皮小体全摘術, 上皮小体迅速細胞診断
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