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日外会誌. 94(10): 1112-1117, 1993
原著
各種甲状腺病変における Superoxide Dismutase の組織内局在および酵素濃度の検討
I.内容要旨Superoxide radicals (O
2-)をO
2とH
2O
2に変換するCu/ZnおよびMn Superoxide Dismutase(SOD)の甲状腺における生理的意義を検討する目的で,各種甲状腺病変(腺腫8,Graves病6’ 腺腫様甲状腺腫4’ 乳頭癌12,濾胞癌3’ 髄様癌3’ 未分化癌2’ 悪性リンパ腫2)の20%formalin固定paraffin包埋薄切標本を材料として両SODの細胞内局在を免疫組織化学的に検索し,またこれら病変の凍結保存組織を材料として組織内酵素濃度を酵素免疫測定法により測定した.
Cu/Zn SODは多くの乳頭癌例と数例の他病変で染色陽性となった.正常甲状腺濾胞細胞では同酵素は核近傍に局在するが,腫瘍および過形成細胞では細胞質全体に瀕漫性に存在した. Mn SODは,乳頭癌ならびに腺腫やGraves病の乳頭状増殖細胞に強い染色を示した. Cu/ZnとMn SODの組織内濃度は全ての腫瘍ならびに過形成病変で正常甲状腺よりも高かった.また,Cu/Zn SODに対するMn SODの比は,正常甲状腺と比較して乳頭癌でのみ有意に高かった.
SODは甲状腺の増殖性病変でその濃度は増加し,Cu/Zn SODはその細胞内局在が増殖の態度によって変化し,またMn SODは乳頭癌ならびに乳頭状に増殖する細胞に豊富に存在することから,甲状腺において,SODは細胞の増殖や分化に関係することが示唆された.
キーワード
superoxide dismutase, 甲状腺腫瘍, 甲状腺機能亢進症, 免疫組織化学, 酵素免疫測定法
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