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日外会誌. 94(9): 977-987, 1993


原著

胃癌の術前進行度診断における腫瘍マーカー測定の有用性

奈良県立医科大学 第1外科

矢野 友昭 , 中谷 勝紀 , 渡辺 明彦 , 澤田 秀智 , 奥村 徹 , 山田 行重 , 中野 博重

(1992年3月30日受付)

I.内容要旨
胃癌手術患者120例を対象に,術前に,CEA,AFP,CA19-9,CA125,TPA,s-BMG,u-BMG,IAP,SAの9種の腫瘍マーカーを測定し,陽性率,分布様式,各腫瘍マーカー間の相関関係について検討した.組織学的進行程度(stage),腹膜転移(P),肝転移(H),リンパ節転移(n),予後的漿膜面因子(ps) の有無,腫瘍最大径,組織学的根治度,分化度の各検討項目別に,各腫瘍マーカーの陽性率,対数平均値を求め,術前の進行度診断や,根治度診断にどの腫瘍マーカーが有用であるかを検討した.
1)各腫瘍マーカーは,いずれも対数正規分布に近い分布を示した.
2)腫瘍マーカーの陽性率は,IAP,TPA,CEA,CA19-9,s-BMG,SA,u-BMG,CA125,AFPの順に高かった.
3)各腫瘍マーカー間で相関関係の強い組合せは,IAPとSA,CA125とTPAであった.
4)進行度診断にはIAP,CA19-9,CA125の組合せが,根治度診断には,IAP,CA125,TPAの組合せが優れていた.

キーワード
胃癌, 進行度診断, 腫瘍マーカー

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