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日外会誌. 94(6): 652-654, 1993


症例報告

外傷性胸部大動脈損傷の 1 治験例

長岡赤十字病院 胸部心臓血管外科

富樫 賢一 , 佐藤 良智 , 矢沢 正知

(1991年11月7日受付)

I.内容要旨
患者は, 55歳男性で, 10mの高さより転落,全身を強打し,緊急入院した.胸部X線写真上,上縦隔拡大を認め,胸部大動脈破裂が疑われた.しかし, CTでは血管外漏出を認めず,破裂は否定されたため, ICUで保存的に治療した.受傷後9日目の大動脈造影では,大動脈峡部に小動脈瘤を認めたが,切迫破裂の危険はないと判断した.受傷5週目の大動脈造影再検でも,動脈瘤の拡大はみられなかったが,将来的に破裂の危険性があると判断し,受傷6週目に峡部瘤切除および人工血管置換術を施行した.緊急手術が原則とされている胸部大動脈損傷の中にも,待機手術が可能な症例があることを論じた.

キーワード
外傷性胸部大動脈損傷, 外傷性胸部大動脈破裂, 外傷性胸部大動脈瘤

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