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日外会誌. 94(5): 475-479, 1993


原著

成人肝移植210例の検討
ーQuality of Life を中心にー

ハーバード大学 医学部, ニューイングランドディコネスホスピタル外科

寺本 研一 , 紀 宗正 , 高山 豊 , David Lewis , Peter Burke , Roger L. Jenkins

(1991年12月13日受付)

I.内容要旨
1983年7月から1991年4月までに当施設で行った成人肝移植210例のQuality of Lifeを検討した.原疾患の内訳は末期肝硬変98例, 原発性胆汁性肝硬変34例, 劇症肝炎29例, 原発性硬化性胆管炎26例, 肝原発性悪性疾患10例(他に摘出肝の検索により悪性病変が合併していることが判明したもの11例)代謝性疾患10例, その他3例である.
1991年4月現在125名の患者が生存しており, 全患者の1年, 3年, 5年生存率(手術死を除く)は各々80.2%, 70.6%, 65.4%であった.また悪性疾患, 劇症肝炎, アルコール性肝硬変の患者の5年生存率はそれぞれ61.4%, 66.6%, 68.4%であった. 3年以上生存した患者50名のうち5名が死亡した.その原因は3名が感染症, 1名が肝不全を伴った感染症, 1名が慢性拒絶反応であった.
社会復帰の概要は, 現在就業就学しているもの73名, 主婦として働いているもの16名, 1度は社会復帰したが死亡したもの6名であった.生存しているが仕事から引退したものは11例, 生存しているが社会復帰不能のものは8名であった.また社会復帰に至らず死亡したもの, 入院中に死亡したものは合わせて79例であった.現在入院中や社会復帰に向けて訓練中のもの, 身体的には社会復帰可能であるがなんらかの理由でいまだ社会復帰を果たしていないものは17名であった. これを就業率としてみると1年生存者中の就業率は78%, 5年生存者中の就業率は84.2%であった.

キーワード
肝移植, Quality of life

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