[
書誌情報]
[
全文PDF] (488KB)
[会員限定・要二段階認証][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 94(5): 442-448, 1993
原著
キラー T 細胞誘導を阻害する抗原非特異的サプレッサー
T細胞因子 (TsF) の解析
I.内容要旨悪性腫瘍の免疫系からのエスケープに関与していると思われるサプレッサーT細胞(Ts)の作用機序を知るために, 抗マウスメラノーマTsクローン(F12)が分泌するサプレッサーT細胞因子(TsF)の機能, 及び生化学物理化学的性状について解析を試みた. F12クローンを抗CD3抗体2C11で約24時間刺激したところ, 培養上清中にTsFが分泌された.このTsFの活性は抗原非特異的であり, syngeneicキラーT細胞(CTL)誘導系において, 抗メラノーマCTL及び抗リンフォーマCTLの誘導を抑制したのみならず, allogeneicCTL誘導系においても, C57BL/6マウス由来のCTL, 及び系統の異なるC3Hマウス由来のCTLの誘導を抑制した.また, TsFはpH1からpH10までの変化, 凍結融解の繰り返しに対しては安定であったが, 有機溶媒及び100℃5分間の煮沸ではその抑制活性を失った.そして高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)による解析により, TsFの分子量は約12,000であることが示唆された. TsFと同様にCTL誘導を抑制する因子にTGFβがあり, F12でも分泌されていることが確認されているが, TsFはTGFβに対する抗血清ではブロックされず, TGFβとは異なる新しい抑制性リンフォカインであると考えられた.
キーワード
サプレッサーT 細胞因子, サプレッサーT 細胞, キラーT 細胞, 悪性腫瘍, マウス
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。