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日外会誌. 94(2): 185-188, 1993


症例報告

開心術後の胸骨感染に対する大胸筋皮膚弁による一期的閉鎖術の経験

紀南綜合病院 心臓血管外科

野村 文一 , 平中 俊行 , 矢倉 明彦

(1991年6月15日受付)

I.内容要旨
開心術後の胸骨感染に対して従来は閉鎖式持続洗浄や, 開放洗浄後の有茎筋肉弁や大網を利用する二期的な閉鎖術が行われていたが, 長期の入院管理を要し, 患者に与える苦痛も大きい.われわれは大胸筋皮膚弁を用いた一期的再建術を行い良好な経過をとった2症例を経験した.症例1は65歳男性, 既往歴は高脂血症であった.緊急2本冠動脈バイパス術(CABG)を施行後8日目に胸骨感染と診断し, debridement及び大胸筋皮膚弁を用い一期的閉鎖術を施行した.症例2は65歳男性, 既往歴は糖尿病を有した. 2本CABGを施行後8日目に胸骨感染と診断し, 同様の方法で一期的閉鎖術を施行した. 2症例とも閉鎖術後, それぞれ29日, 23日目に退院し, 術後6カ月のCT検査では胸骨欠損部は線維性組織で充填され, 外見上も通常の開心術と差がなかった.本法は少ない剝離と簡単な手術手技で可能であり, 入院期間の短縮と患者の苦痛を軽減できる等利点を有する.

キーワード
胸骨感染, 大胸筋皮膚弁, 一期的再建術


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