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日外会誌. 94(2): 119-127, 1993
原著
抗CEAモノクロナール抗体を用いた大腸癌の画像診断-
-第3報:臨床症例20例の経験
I.内容要旨腫瘍関連抗原に対する抗体を画像診断に応用するradioimmunodetectionは, 抗体のもつ特異性により, 画像に示された陰影の臨床病理学的性質を反映するため, 質的画像診断として最も理論にかなった方法と考えられる.我々は大腸癌の質的画像診断を目指して, 精製CEAを免疫原として抗CEAモノクローナル抗体CEA102を作製し, その特異性を免疫組織学的方法により検索した結果, CEA102はほぼ全例の大腸癌と反応を示し, 大腸癌の部位診断に有用であると考えられた.今回施行した20症例の病巣部位別の例数は, 大腸癌原発巣4例, 肝転移6例, 局所再発10例, 鼠径リンパ節転移1例である.抗体量は2mgより10mgで,
131Iの標識にはクロラミンT法, またはヨードゲン法を用いた.投与による副作用は, 発熱, 悪寒が4例に認められたが, エンドトキシン除去後はこれらの訓作用は消失した.症例の術前CEA値は, 3.6ng/mlから816.0ng/mlで, CEA高値例でも陽性所見が得られており, 血中CEAが抗体の腫瘍部との反応を阻害していないことを示唆した.画像診断の経日的変化を観察すると, whole IgGでは3~4日, F(ab')
2では2日で描出が可能であった. 画像診断の陽性率 (sensitivity=検出病巣数/全病巣数) は, 全体では15/21(71.4%) を示し, 各病巣別では, 原発巣4/4 (100%), 肝転移5/6 (83.8%), 鼠径リンパ節転移1/1 (100%) と高い診断率を示したが, 局所再発は5/10 (50%) であった.これは局所再発巣が血行に乏しいこと, また非特異的に造影される膀胱部の陰影と重なることなどによるが, CT, MRIなどの画像診断の弱点とされる再発腫瘍と術後の線維性変化との鑑別診断ができたことは意義深いと思われる.今後核種の変更, 診断機器の改良などにより, 有用な一般検査となりうると期待される.
キーワード
大腸癌, 画像診断, CEA, モノクローナル抗体
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