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書誌情報]
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日外会誌. 93(11): 1433-1440, 1992
原著
腹部主要4分枝置換を要した胸腹部大動脈瘤の検討
I.内容要旨1983年より1990年までの8年間に腹部の主要4分枝置換を必要とした胸腹部大動脈瘤5例を手術した.これら5例の内訳はCrawford分類の2型1類,3型3例,4型1例であった.原因疾患は,大動脈炎症候群2例,弼状硬化症1例,Marfan症候群1例,特発性中膜壊死1例であった.動脈瘤への到達法はStoneyのspiral opening法が3例,腹部正中切開に経横隔膜的に開胸を加えた症例が2例であった.動脈再建に対する基本的な考え方は,i)大動脈遮断対策として一時バイパスを使用すること,ii)瘤より末梢の正常大動脈,あるいは逆行性に吻合した人工血管より,あらかじめ両側腎動脈にバイパスを作成し,一時バイパスよりこれらを灌流せしめることによって腎動脈の遮断時間短縮を図ること,iii)上腸間膜動脈,腹腔動脈はひとまとめにして,Crawford法により再建すること,iv)肋間動脈は,中枢側吻合部の大動脈後壁を舌状に残して,開口部の健常な1~2対を再建すること,V)左腎静脈を一時的に切離し,腎動脈再建を容易にすること,である.ただし4型の上腹部大動脈に限局した動脈瘤では,健常な大動脈より腹腔動脈以外のすべての分枝をまず再建し,最後に単純化された大動脈を直管によって再建した.これにより32分を要した1腎を除いて,腎動脈遮断時間は25分以内,平均17分であった.上腸間膜動脈,腹腔動脈の遮断時間は35分より67分(平均53分)であり,特殊な保護手段を構じなかったが,術後は臓器障害を起こすことなく順調に経過した.
キーワード
胸腹部大動脈瘤, 分枝血行再建, 一時的体外バイパス, 腎不全
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