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日外会誌. 93(7): 766-768, 1992


症例報告

連合弁膜症に合併した慢性腸管虚血の1例

仙台市医療センター仙台オープン病院 心臓血管外科
*) 仙台市医療センター仙台オープン病院 消化器外科

三浦 康 , 茂泉 善政 , 中目 貴彦 , 畑 正樹 , 阿部 康之 , 宮川 菊雄*)

(1991年4月4日受付)

I.内容要旨
連合弁膜症を合併した慢性腸管虚血症例を経験した.症例は69歳男性で10年来弁膜症による心不全にて入退院を繰り返していたが,今回心不全にともない食後の心嵩部痛もみられるようになり入院した.心カテーテル検査ではIII度の僧帽弁閉鎖不全症及び三尖弁閉鎖不全症がみられた.また選択的腹部動脈造影では腹腔動脈の分岐異常がみられ総肝動脈は上腸間膜動脈と共通幹を形成しておりこの共通幹に75%狭窄がみられた.
以上より共通幹狭窄に心不全による心拍出量低下が加わり腸管虚血を来したものと診断し,大伏在静脈を用いた腹部大動脈ー上腸間膜動脈間バイパス術と僧帽弁置換術及び三尖弁輪縫縮術を二期的に行った.
本症例は連合弁膜症を合併した腸管虚血にたいし二期的手術を施行した本邦第1例目と思われるので報告した.

キーワード
連合弁膜症, 慢性腸管虚血, 開心術


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