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日外会誌. 90(12): 2015-2020, 1989


原著

腋窩リンパ節腫大で発見されたT0乳癌

愛知県がんセンター 乳腺外科

村居 寛 , 吉田 穣 , 三浦 重人

(1989年2月4日受付)

I.内容要旨
腋窩リンパ節生検により乳癌の転移が疑われたにもかかわらず,乳房に腫瘤を触知し得なかったT0乳癌を10例経験した.mammography,ultrasonography等画像診断で乳癌の存在を疑わしめたのは3例で,7例は全く描出されなかった.生検リンパ節の大きさは1.5cm~7cmであったが,その大きさに関係なく手術時点での転移リンパ節個数が8個以上の場合は予後が悪かった.Br+Ax+Mj+Mn+Psを7例に,1例はBr+Ax+Mj+Mnの手術を行なった.2例は非治癒手術に終わった.Psに転移を認めたものは無かった.腫瘍径は1.8cm以下が7例,5cm以上が2例あり,1例は原発巣が見い出せなかった.組織型は通常型の浸潤性乳管癌が8例で,1例は非浸潤癌であった.非治癒手術2例と転移リンパ節数14個が確認された1例の計3例が乳癌死した以外は7例とも1~10年(平均5年6カ月)健存中である.腋窩転移陽性の通常の乳癌と比較しても,予後は悪くないのではないかと考えられる.

キーワード
腋窩リンパ節生検, 腋窩リンパ節転移, T0乳癌

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