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日外会誌. 90(12): 2015-2020, 1989
原著
腋窩リンパ節腫大で発見されたT0乳癌
I.内容要旨腋窩リンパ節生検により乳癌の転移が疑われたにもかかわらず,乳房に腫瘤を触知し得なかったT
0乳癌を10例経験した.mammography,ultrasonography等画像診断で乳癌の存在を疑わしめたのは3例で,7例は全く描出されなかった.生検リンパ節の大きさは1.5cm~7cmであったが,その大きさに関係なく手術時点での転移リンパ節個数が8個以上の場合は予後が悪かった.Br+Ax+Mj+Mn+Psを7例に,1例はBr+Ax+Mj+Mnの手術を行なった.2例は非治癒手術に終わった.Psに転移を認めたものは無かった.腫瘍径は1.8cm以下が7例,5cm以上が2例あり,1例は原発巣が見い出せなかった.組織型は通常型の浸潤性乳管癌が8例で,1例は非浸潤癌であった.非治癒手術2例と転移リンパ節数14個が確認された1例の計3例が乳癌死した以外は7例とも1~10年(平均5年6カ月)健存中である.腋窩転移陽性の通常の乳癌と比較しても,予後は悪くないのではないかと考えられる.
キーワード
腋窩リンパ節生検, 腋窩リンパ節転移, T0乳癌
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