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日外会誌. 90(10): 1713-1717, 1989


原著

下部食道連続 pH 測定に基づく乳児期胃食道逆流現象の治療指針

*) 名古屋大学 医学部第1外科
**) 名古屋大学 医学部分院外科
***) 愛知県コロニー中央病院 小児外科

渡辺 芳夫*) , 塩野谷 恵彦*) , 伊藤 喬廣**) , 原田 徹***) , 長屋 昌宏***)

(1988年12月2日受付)

I.内容要旨
乳児期GERの遷延や増悪の因子を検討するために,過去にGERの検査を施行した患児を対象に下部食道連続pH測定の結果を分析した.長屋のGERスコアーを用いて手術適応となった群32例と,要観察となった群35例を用いて下部食道24時間連続pH測定法の有用性を証明した.また,要観察群の中からGER増悪のため保存的療法の後に手術適応となった5例中4例と2年以上に亙って臨床上GERを認めない改善群8例のpH測定結果を比較した.pH測定の4項目の内,5分以上連続してpHが低下した回数のサブスコアーは増悪群42.4±14.791と改善群5.7±0.766,最も長くpHが低下した時間のサブスコアーは増悪群7.4±1.996と改善群2.5±0.355となった.この両項目に有意の差を認めた(p<0.05).他の項目では有意差が認められなかった.即ち,乳児期例での上記2項目はGERの保存的療法における治療方針の決定に有用であると考えられた.

キーワード
胃食道逆流現象, 小児, 下部食道 pH 測定

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