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日外会誌. 90(8): 1140-1153, 1989
原著
消化器外科術後静脈栄養におけるアミノ酸輸液の研究
ー手術侵襲とアミノ酸組成および投与量からの検討ー
I.内容要旨高カロリー輸液用アミノ酸液として開発された分岐鎖アミノ酸(以下BCAAと略す)含有量が30%の新組成アミノ酸液と22.6%の市販アミノ酸液を消化器外科術後高カロリー輸液に使用した.検討は手術侵襲別(開胸群あるいは非開胸群),2段階のアミノ酸投与量別(1.2g/kg/日投与群あるいは1.6g/kg/日投与群)に行った.その結果,投与アミノ酸組成および量によって栄養効果に差があることを明らかにした.
1.開胸群・非開胸群共,高濃度BCAA液の投与による血清総蛋白・アルブミン値の有意の改善は認められなかった.
2.開胸群・非開胸群共,高濃度BCAA液の投与によるrapid turnover protein値の有意の改善は認められなかった.
3.開胸群・非開胸群共,高濃度BCAA液の投与により,血漿アミノグラムでのBCAA/AAA比の改善が認められた.
4.開胸群では,高濃度BCAA液の投与による,窒素出納の改善は認められなかった.非開胸群のアミノ酸1.6g/kg/日投与群で,窒素出納の改善傾向が認められた.
5.開胸群・非開胸群共,高濃度BCAA液の投与による,尿中3-メチルヒスチジン排泄量の有意の抑制は認められなかった.
6.開胸腹による一期的食道切除再建術など,過大侵襲の術後における至適BCAA投与量,至適BCAA組成は,今後の検討課題である.
キーワード
術後高カロリー輸液, アミノ酸組成, 分岐鎖アミノ酸 (BCAA), 窒素出納, 尿中3-メチルヒスチジン
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