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日外会誌. 90(7): 972-979, 1989
原著
各種リンパ球より誘導した LAK 細胞の in vivo 抗腫瘍活性について
ーラットを用いた検討ー
I.内容要旨5週齢SD系雌ラット大腿部皮下に,MRMT-1腫瘍を移植し1週目の領域リンパ節リンパ球(LN),胸腺細胞(TC)および脾細胞(SC)より,R-IL2(TGP-3)1U/ml添加培地でLAK細胞を誘導し,in vitroおよびin vivoの細胞障害活性を検索した.
1)in vitroの結果:MRMT-1に対する障害活性(%)は経時的に漸増し,培養4日目でTB-SC-LAKが46.5%と高値を示したが,TB-LN-LAKは5.8%と低値のままであった.YAC-1に対する障害活性も経時的に漸増し,4日目でTB-SC-LAKが65.3と高値を示したが,TB-LN-LAKは低値のままであった.各LAK細胞の障害活性はMRMT-1に比べYAC-1で高く,脾細胞から誘導したLAK細胞の障害活性は非担癌に比べ担癌で高値を示した.
2)in vivoの結果:背部皮下中和試験での平均腫瘍径と16週目の生着率から推察した抗腫瘍効果は,TB-LN-LAKが最も優れ,TB-SC-LAKが最も劣っていた.腹腔内中和試験での非照射群の延命効果はTB-LN-LAKおよびNBSC-LAKで優れていたが,TB-SC-LAKで劣っていた.
60Co前照射群の場合は何れも30日以内に死亡した.肺転移モデルを用いた転移結節数は,LAK細胞の静注により何れも減少したが,その程度はTB-LN-LAKで最も優れていた.腹腔内中和試験でR-IL2補充療法を併用すると,TB-LN-LAKでは全例120日以上生存可能であった.
以上の結果,LAK細胞の受動免疫療法ではin vitroよりもin vivoの活性と治療成績との相関性が高く,リンパ球sourceとしては領域リンパ節が,投与経路としては癌性腹膜炎に対する腹腔内投与や,肺転移巣に対する静脈内投与の有効性が,また,R-IL2補充療法による増強効果の可能性が示された.
キーワード
LAK 細胞, 受動免疫療法, in vivo 細胞障害活性, ラット実験腫瘍, リンパ球 source
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