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日外会誌. 90(6): 819-825, 1989


原著

胃および食道癌患者における OK432による IFN-γ 産生能について
ー皮内反応との比較ー

近畿大学 医学部第2外科学教室(主任:久山 健教授)
近畿大学 第2内科学教室

松本 博城 , 泉谷 良 , 寺田 益士 , 野口 淳 , 白羽 誠 , 久山 健 , 青木 矩彦

(1988年3月25日受付)

I.内容要旨
Interferon-γ(IFN-γ)は他の型のIFN(-α,-β)と異なりリンパ球自身の免疫学的産物(lymphokine)であり,NK活性を初めとしてinterleukin 1(IL-1),interleukin 2(IL-2),macrophage activating facter(MAF)活性,B細胞反応等多岐にわたり免疫反応に関与している.一方免疫賦活剤として我が国で広く用いられているOK432は,いわゆるbiological response modifier(BRM)に関係した作用機序を有する薬剤として注目されている.我々は前にOK432による人末梢血単核球(PMC)のinvitro IFN-γ産生能につき検討をしたが,今回担癌患者においてPMCのIFN-γ産生能とその時のSu-PS(an extract of Streptococcus Pyogenes)及びPPD(purified protein derivative)皮内反応との関係を調べた.PMCはFicoll-conray比重遠沈法により分離最終的に1×106cells/mlを10%FCS添加RPMI-1640培地に浮遊調整した.OK432の0.17KE/ml濃度下で7日間以上の培養を続け,上清中に産生されるIFN-γはradioimmunoassayにて測定した.皮内反応はSu-Psは24時間後,PPDは48時間後にその紅斑の最大径と最小径を測定し,その平均紅斑径が10mm以上のものを陽性とした.
結果:1.OK432はin vitroで人末梢血単核球のIFN一γ産生を誘導した.そしてその産生は培養24時間ですでに認められ,7~9日間の培養期間中を通じて持続的に上昇した.
2.Su-Ps皮内反応陰性群は陽性群に比較し,そのIFN-γ産生能は有意に抑制されていた(p<0.001).またPPD皮内反応陰性群も同様有意に抑制されていた(p<0.001).
3.Su-Ps皮内反応の大きさとOK432によるIFN-γ産生能は有意の正相関を認めた(r=0.48,p<0.01).またPPD皮内反応の大きさとOK432によるIFN-γ産生能も同様正相関を認めた(r=0.41,p<0.001).
以上より,OK432は人末梢血単核球の培養系でIFN-γ産生を刺激し,そのIFN-γの測定は担癌患者の免疫能を把握するのに極めて有用であると考えられる.

キーワード
OK432, IFN-γ産生能, Su-Ps 皮内反応, PPD 皮内反応, 担癌患者

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