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日外会誌. 90(4): 483-488, 1989


原著

家兎を用いたエンドトキシン投与の脂肪代謝に与える影響の研究:
中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の比較を中心に

三重大学 医学部第2外科(指導:鈴木宏志教授)

日置 図南

(1988年4月7日受付)

I.内容要旨
20羽の家兎を投与した脂肪乳剤の種類によって中鎖脂肪酸脂肪乳剤群(MCT,n=10),長鎖脂肪酸脂肪乳剤群(LCT,n=10)に分け,さらに重症感染症下における熱源としての中鎖脂肪酸脂肪乳剤の意義を検討する目的でそれぞれの群の半数にエンドトキシンを投与し,計4群の実験系についてケトン体産生量,アセトアセテート,βヒドロキシ酪酸,ケトン体比から脂肪の酸化動態を比較した結果,以下の結論を得た.1)エンドトキシン投与の有無にかかわらず,MCTはLCTに比してβ酸化されやすい.2)エンドトキシン投与によりLCTのβ酸化は抑制されたのに対し, MCTのそれは抑制されなかった.3)エソドトキシン投与によりMCT群ではアセトアセテートに比べβヒドロキシ酪酸の産生量がより増加したため動脈血中ケトン体比はLCT群よりも低下した.4)以上よりMCTはLCTに比べ容易にβ酸化をうけやすく,特にエンドトキシン投与によってミトコンドリア膜における脂肪酸の輸送能が障害された状態ではLCTに比べてβ酸化される効率がよいと考えられた.

キーワード
中鎖脂肪酸脂肪乳剤, 経静脈栄養, ケトン体, エンドトキシン

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