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日外会誌. 90(1): 134-137, 1989
症例報告
Middle aortic syndrome に対する枝付きグラフトを用いた血行再建の1例
I.内容要旨高安病の胸腹部型と考えられたmiddle aortic syndromeに対して枝付きグラフトを用いてバイパスを行い,良好な結果を得た.症例は23歳,女性で高血圧と腹痛を主訴とし,血管造影にて腹腔動脈分枝部から左腎動脈分枝部までの大動脈狭窄を認めた.手術は左上肢左肩挙上の仰臥位,第8肋間,腹部正中にて開胸開腹を行った.バイパスにはwoven Dacron(径18mm)と3本のEPTFE(径8mm)にてあらかじめ作成しておいた枝付きグラフトを用いた.バイパス経路は後腹膜で解剖学的走行に沿ったものとし,woven Dacronにて胸部下行大動脈一腎下部腹部大動脈バイパスを行い,中枢側の枝グラフト(EPTFE)より順次,総肝動脈,上腸間膜動脈,右腎動脈ヘバイパスを行った.術後,血圧は低下し腹痛も消失した.また,血漿レニン活性は低下し腎機能は改善した.術後2ヵ月の血管造影にてバイパスの開存は良好であり,術後6ヵ月の現在,元気に社会復帰している.開胸開腹による大動脈と腹部分枝の露出,及び枝付きグラフトによるバイパスはmiddle aortic syndromeに対する術式として有効であった.
キーワード
middle aortic syndrome, 高安病, 枝付きグラフト
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