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日外会誌. 90(1): 44-48, 1989
原著
ドーパミン負荷胃液検査法の臨床的意義
I.内容要旨132例の消化性潰瘍患者にドーパミン2μg/kg/min,4μg/kg/min負荷を行い胃酸分泌能を測定し,胃酸分泌反応別にその臨床的意義をテトラガストリン,インスリン刺激胃酸分泌能,胃排出能,ガストリン分泌,迷走神経切離術前後で検討した.ドーパミン2μg/kg/minを30分間投与したときの酸分泌量がBAO(mEq/30分)よりも0.2mEq/30分を越えて減少する症例をCata-responder,0.2mEq/30分を越えて上昇する症例をAna-responder,変動が0.2mEq/30分以内である症例をNon-responderとした.
Cata-,Non-,Ana-responderはそれぞれ59例,45例,28例に分類された.Cata-responderは高酸例で,胃排出能遅延例であり,男性の十二指腸潰瘍例に多く,迷走神経枝,壁細胞因子の関与が考えられ,Ana-responderは女性例でみられ,高酸症例で,胃排出能正常例であり,迷走神経枝,壁細胞因子とdopaminergic因子の関与が考えられ,Non-responderは低酸例で胃潰瘍に多く迷走神経の関与が少なくG-cell massの要因が最も考えられた.よって,迷走神経切離術の適応はCata-responderとAna-responderと考えられた.以上のことより,胃にドーパミン受容体の存在が推測され,ドーパミン負荷胃液検査法は,消化性潰瘍の病態と治療方針を検討する上で有用な胃液検査法の一つになりうると考えられた.
キーワード
ドーパミン負荷胃液検査法, 胃酸分泌, ドーパミン作動性機序, 選択的近位迷走神経切離術
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