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日外会誌. 89(8): 1273-1278, 1988
原著
ファロー四徴症術後スコア表作成の試み
―術後心室性期外収縮および運動能に関して―
I.内容要旨1974年1月から1981年3月までに根治手術を受け,術後5年以上経過したファロー四徴症患者35例を対象とし,術後心室性期外収縮(VPC)および術後運動能に関与する因子について検討を加え,VPCスコアと運動能スコア(EP(exercise performance)スコア)の作成を試みた.
35例中12例(34.3%)にLown 2度以上のVPCを認め,Lown 2度以上のVPCが出現した群(B群,n=12)は,VPCがLown 1度以下の群(A群,n=23)に比し,右室左室収縮期圧比(RV/LV)と右室収縮期圧(RVp)が有意に大きく,またB群の右室流出路領域における局所壁運動(RVRWM)は奇異性を示していた.このRV/LV,RVpとRVRWMの3因子を用いてVPCスコアをつけると,スコア0点の11例は,全例有意のVPCを認めず,スコア3点の7例中6例にLown 2度以上のVPCを認めた.
トレッドミル運動負荷検査における運動耐久時間に関して,高いRV/LV(0.5以上),低い左室駆出率(68%未満),高いCTR値(55%以上),有意な肺動脈閉鎖不全を示した症例の運動耐久時間は短く,これらのパラメータは,術後遠隔期の運動能力に影響を及ぼす要因と思われた.この4因子を用いてEPスコアをつけると,スコアが2,3,4と高くなるほど運動耐久時間が短くなる傾向が認められた.
VPCスコアおよびEPスコアは,術後のVPC発生および運動耐久時間と良い相関を示し,スコア表にて高い値を示す症例に対しては,注意深い観察が必要であると思われた.
キーワード
ファロー四徴症, 運動能スコア, VPCスコア, 心室性不整脈
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