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日外会誌. 88(11): 1584-1590, 1987


原著

上腹部自律神経叢切離が膵内分泌および消化管ホルモン分泌に与える影響

名古屋大学 医学部第1外科学教室(主任:塩野谷恵彦)

高江洲 裕

(昭和62年1月7日受付)

I.内容要旨
上腹部自律神経叢切離が血糖値,insulin,(IRI),vasoactive intestinal polypeptide(VIP),secretin,pancreatic glucagon(IRG),およびgutglucagon like immunoreactivity(gut GLI)分泌に与える影響について検討した.
雑種成犬を全身麻酔下で対照群,迷走神経幹切離群,上腹部自律神経叢切離群の3群を作製し,十二指腸内ブドウ糖負荷試験を行い,門脈より採血を行った.
迷走神経幹切離群の門脈血中血糖値,insulin,VIP,secretin,IRG,およびgut GLI分泌反応は対照群と比べ,有意差がなく,迷走神経が血糖値,insulin,VIP,secretin,IRG,およびgut GLI分泌反応に大きく関与するとは考えられなかつた.
上腹部自律神経叢切離群は十二指腸内ブドウ糖負荷試験後,60分以内に強烈な下痢を呈し,対照群と比べ,有意の門脈血中血糖高値とinsulin,VIP,secretin,IRG,およびgut GLI分泌の有意の増加反応を示した.上腹部自律神経叢切離ー主として交感神経系の切離は十二指腸内ブドウ糖負荷試験におけるinsulin,VIP,secretin,IRG,およびgut GLI分泌を促進することが示唆された.また,上腹部自律神経叢切離が下痢の原因となることが示唆された.

キーワード
上腹部自律神経叢切離, insulin, vasoactive intestinal polypeptide, glucagon, ブドウ糖負荷試験


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