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日外会誌. 88(11): 1554-1564, 1987


原著

Human Tumor Clonogenic Assay と Subrenal Capsule Assay による制癌剤感受性試験の比較検討

岩手医科大学 細菌学(指導:吉田昌男教授)
岩手医科大学 第1外科(指導:森 昌造前教授)

寺島 雅典

(昭和62年1月5日受付)

I.内容要旨
消化器癌を中心とした悪性腫瘍患者を対象とし,73例に対しin vitroの制癌剤感受性試験としてhuman tumor clonogenic assay(HTCA)を,43例に対しin vivoの制癌剤感受性試験としてsubrenal capsule assay(SRCA)を実施し,この2方法間の比較及び臨床での治療効果との相関について検討した.HTCAはSalmonらの方法に準じて行い,各薬剤処置群で対照群に比べ50%以上のコロニー数の減少が認められた時に感受性陽性と判定した.SRCAはBogdenらの6日間法に準じ,対照群で移植腫瘍の長短径の平均値の差(⊿TS)が-0.5dmm以上の場合に薬剤感受性の評価可能とし,薬剤処置群での⊿TS≦-1.0dmmの時に感受性陽性と判定した.
1.HTCAを施行した73例中,43例(58.9%)が対照群で5個以上のコロニーを形成し,更に21例(28.8%)が30個以上のコロニーを形成し制癌剤の感受性を検討する事ができた.
2.SRCAを実施した43例中,38例(88.4%)で対照群の⊿TS≧-0.5dmmとなり制癌剤の感受性が評価可能であつた.
3.感受性を検討できた薬剤中,HTCAでは98剤中24剤(24.5%)で,SRCAでは160剤中50剤(31.2%)で感受性陽性と判定された.
4.HTCAとSRCAを同時に実施する事ができた21例中,12例(57.1%)でHTCAとSRCAが共に評価可能であつた.この12例で合計39の薬剤について感受性を検討したところ,71.8%で感受性の一致が認められた.
5.HTCAで8例,SRCAで5例について臨床効果との相関が検討可能であり,HTCAでは87.5%,SRCAでは80.0%の一致率が得られた.
HTCAとSRCAは,制癌剤感受性試験として臨床的に応用できる優れた方法であると思われた.

キーワード
制癌剤感受性試験, Human Tumor Clonogenic Assay, Subrenal Capsule Assay

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