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日外会誌. 88(4): 493-499, 1987


症例報告

Behçet 病による破裂性胸腹部大動脈に対する瘤空置 ・ Extra-anatomic bypass 術の1治験

北海道大学 医学部第2外科

安田 慶秀 , 佐久間 まこと , 鈴木 省悟 , 川崎 浩一 , 郷 一知 , 山崎 亮 , 田辺 達三

(昭和61年6月11日受付)

I.内容要旨
41歳,男性,不完全型Behçet病に合併した胸腹部大動脈瘤の上腹部大動脈破裂に対しパッチによる破裂孔閉鎖を行つた.しかし,7ヵ月後に吻合部破裂をきたしたため再手術を行つた.再手術では大動脈破裂部を空置し上行大動脈一腎下部腹部大動脈間のextra-anatomic bypassを行い腹腔動脈幹,上腸間膜動脈を再建し救命し得た.
Behçet病に伴う動脈瘤をはじめ炎症性動脈瘤では周囲組織への炎症病変の波及や癒着のため血管処理が困難なことが多く,術後も縫合不全や吻合部動脈瘤発生をきたすこともあり外科治療上問題が多い.可及的健常な部分での血行再建を心がけることが大切であるが直達手術では健常組織での再建が不十分となることも多い.とくに再手術例における直達手術は手技的にも難しく,手術侵襲も大きいため最初からextr-anatomic bypass術を考慮する必要がある.Behçet病に伴う大動脈瘤の外科治療にあたつては病態に応じた再建術式を選択すると同時に術後も全身病としての十分な管理と厳重な経過観察を行い外科治療成績の向上を計る必要がある.

キーワード
vasculo-Behçet 病, 破裂性大動脈瘤, 胸腹部大動脈瘤, extra-anatomic bypass術, 炎症性大動脈瘤


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