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日外会誌. 87(10): 1352-1358, 1986


原著

急性腸管膜血管閉塞症の早期診断へのアプローチ
-SMAO 作製犬に基づく検討-

川崎医科大学 救急医学

木戸 訓一 , 前之園 晃幸 , 高須 伸克 , 仁科 雅良 , 徳田 剛爾 , 藤井 千穂 , 小浜 啓次

(昭和61年1月20日受付)

I.内容要旨
急性腸間膜血管閉塞症は,高い死亡率を有する疾患であるが,その主たる原因は診断,特に早期診断の困難性にある.今回著者らは,上腸間膜動脈結紮犬において,臨床血液検査の面より検討を加え,本症の早期診断へのアプローチを試みた.測定を行つた項目は24に及んだが,腸管虚血群と非虚血群との対比検討で,統計学的に有意差を認め,腸管虚血の診断に有用と考えられたのは,血清CPKアイソザイムのBBとMB,血清無機燐,血清Ca,動脈血液ガス分析におけるBase Excessの測定値であつた.これらの中で,血清CPKアイソザイムのBB,血清無機燐,血清Caの値は,虚血後早期(3~6時間目)に異常を示し,残る血清CPKアイソザイムのMBとBase Excessも,虚血発生後18時間以内には異常を呈した.しかし今回有用と判断した検査項目はBase Excessを除き,現状では緊急検査には適していない.従つて実地臨床上,血液検査の面からはBase Excessが診断上の中心的役割を果たすと考えられたが,将来的に他の検査項目も緊急検査として実施可能となることが望まれる.

キーワード
急性腸間膜血管閉塞症, 血清 CPK, 血清 CPK アイソザイム, 血清無機燐, Base Excess

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