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日外会誌. 87(10): 1330-1334, 1986
原著
肝切除術術後に発生した難治性腹水に対する β-blocker の効果
I.内容要旨慢性活動性肝炎及び肝硬変合併肝細胞癌症例の肝切除術後,Na制限(5g/日),利尿剤,蛋白製剤等の投与によりコントロールできない難治性腹水の発生をみたが,β-blockerであるpropranololを併用することにより劇的な腹水の消褪をみた.
この肝性腹水に対するpropranololの効果は,腎の旁糸球体装置のβ-adrenergic receptorをblockし血中レニン活性を正常化しレニン,アンギオテンシン,アルドステロン系(以下RAA系)全体を抑制することにあると思われる.これにより,アルドステロンによる腎でのNaの再吸収が抑制されるぼかりでなく,レニン,アンギオテンシンIIによる門脈圧上昇作用,抗利尿ホルモン分泌作用をも抑制し,腹水を消褪せしめると考えられる.
キーワード
propranolol, β-blocker, レニン, アンギオテンシン, アルドステロン系
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