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日外会誌. 87(10): 1324-1329, 1986
原著
消化管カルチノイドにおける悪性度の検討
I.内容要旨古典的消化管カルチノイド39例(胃15例・十二指腸4例・胆嚢1例・虫垂2例・結腸1例・直腸16例)を対象とし,カルチノイドの悪性度を腫瘍径,深達度,発生臓器別・肉眼型,脈管侵襲・核分裂像から検討した.さらに,組織内アミン・ペプチド・異所ホルモンおよび癌胎児蛋白産生パターンから予後を検索した.腫瘍径では2cm以上・深達度pm以上肉眼型はボルマン型・脈管侵襲陽性・核分裂像陽性例では転移率が高く,予後も極めて不良であつた.免疫組織学的にアミン・ペプチド活性陽性例は12例(54%)にみられたが,ペプチド産生パターンと予後に相関はみられなかつた.また異所ホルモンであるhCG産生例は12例(31%)であつたが,hCG産生例と非産生例の間で転移率,予後に相関をみとめなかつた.一方,CEA産生例は11例(29%)で,これら症例では腫瘍径が大きく,深達度も深い例が多くリンパ節や肝への転移が78%にもみられた.その予後は5年生存率0%であり,CEA非産生例の78%にくらべ有意に低率であつた.以上より消化管カルチノイドの予後を腫瘍径,深達度,肉眼型,脈管侵襲,核分裂像や腫瘍内ペプチド,癌胎児蛋白産生パターンからprospectiveにscreeningすることが可能と考えられた.
キーワード
カルチノイド, ペプチド産生能, CEA
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