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日外会誌. 87(8): 916-920, 1986
症例報告
肝癌の胃転移により胃穿孔をきたした1例
I.内容要旨肝細胞癌が直達性に胃へ浸潤転移し,胃穿孔を生じた70歳男性症例を経験した.急性腹症を呈する10日前に腹腔内に遊離ガスが認められており,胃穿孔の時期は不明であつた.
術前の胃透視所見及び胃内視鏡所見よりBorrman 3型胃癌が疑われた.患者は強度の異常前弯を呈していたため上腹部正中切開に胸骨縦切開,横隔膜切開を加え開腹した.胃体上部中部を中心に巨大な腫瘤が形成されており,肝左葉外側と胃前壁は癒着していた.又,著明なリンパ節転移が多数認められ,特に胃周囲に顕著であつた.横行結腸はリンパ節を介して浸潤されていた.肝左葉外側区域に腫瘤を2ケ触知するも胃腫瘍と連続しており,胃癌の肝転移によるものか,肝癌によるものか術中には鑑別が困難であつた.胃全摘及び横行結腸,膵体尾部,脾臓,肝左葉外側区域の合併切除を行なつた(左上腹部内臓全摘術).術後,敗血症にて死亡したが,病理組織学的所見よりEdmondson 4型の肝細胞癌による胃への直達性浸潤と判明した.
肝細胞癌の胃転移により胃穿孔を生じた極めて稀な症例であり,かつ肝細胞癌のリンパ節転移に関し興味ある所見を呈していたので報告した.
キーワード
肝細胞癌の胃転移, 胃穿孔, リンパ節転移
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