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日外会誌. 87(8): 889-899, 1986
原著
急性動脈閉塞解除の Myonephropathic Metabolic Syndromeの発生防止および治療法の研究
I.内容要旨Myonephropathic metabolic syndrome発生の回避方法を知る目的で雑種成犬32頭を用い,実験的に腎動脈下腹部大動脈の急性遮断(12,24,48時間遮断の3群)および解除を行い,その際に起る種々の代謝変化を血液生化学的に検討した.次いで48時間遮断群について,代謝異常発生防止処理としてtris(hydroxymethyl)aminomethane(THAM群)の投与と阻血肢灌流(灌流群)を行い,無処置群と比較検討した.測定は血清GOT,CPK,Aldolase,クレアチニン,尿素窒素,ピルビン酸,乳酸,LDH,静脈血カリウム値およびpHについて行つた.
処置群のうち,THAM群では遮断1時間後の測定値より〔Base Excess×0.3×weight(kg)〕mlで算出した量のTHAMを遮断1時間後に投与し,さらに血行再開直前にその2倍量を末梢静脈より注入した.灌流群では腹部大動脈血行遮断部直下より乳酸加リンゲル液30ml/kgを用手的に注入し,この液は大動脈遮断部と同高の下大静脈より可及的に回収棄却した.
1)無処置群では48時間遮断群の血清GOT,CPK,Aldolase,クレアチニン,尿素窒素値は12および24時間遮断群に比し,遮断解除後,急激に高値となつた.
2)無処置48時間遮断群の血清GOT,CPK,Aldolase値は遮断解除24,48時間後に漸次低下したが,血清クレアチニン,尿素窒素値は遮断解除48時間後においても高値で,低下傾向はなかつた.
3)処置2群(THAM群,灌流群)の血清GOT,CPK,Aldolase,クレアチニン,尿素窒素値は遮断解除後も増加せず,遮断前と同じ値を示した.処置群と無処置群との間に有意差があつた.
4)血行遮断および解除時のTHAM注入や血行再開直前の乳酸加リンゲル液による阻血部灌流は血行再開後に生ずる血液生化学的変動を著しく抑制した.
キーワード
Myonephropathic metabolic syndrome, THAM, 急性動脈閉塞
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