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日外会誌. 87(7): 818-823, 1986
症例報告
腸骨動脈直腸瘻を形成した腹部大動脈瘤の1治験例
I.内容要旨腹部大動脈瘤破裂による腸骨動脈直腸瘻を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は80歳の男性で大量下血を主訴として緊急入院した.2週間前にも少量の下血があり,その際腹部大動脈瘤を指摘されていたので,大動脈腸管瘻の疑いのもとに緊急手術を行なつた.両側axillofemoral bypassを設置した後開腹したところ,左総腸骨動脈直腸瘻を伴つた両側腸骨動脈に及ぶ大動脈瘤が認められたので,大動脈瘤切除術及びHartmann手術を施行した.術後種々の合併症をきたしたが,長期間の抗生剤投与と追加手術により退院可能となつた.腹部大動脈瘤の大腸への瘻形成はまれではあるが致命的な合併症であり,その診断,治療は難しい.今回集計した文献報告13例中11例で手術が行なわれているが,生存は自験例を含めた3例のみである.しかし,積極的な診断,術後感染症を予想した術式及び長期間の抗生剤投与により治療成績は向上すると考えられる.
キーワード
腹部大動脈瘤, 動脈腸管瘻, 腸骨動脈直腸瘻
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