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日外会誌. 87(7): 813-817, 1986


症例報告

胆石症を合併しエコー検査にて発見された下大静脈巨大血栓症の1治験例

産業医科大学 第2外科
*) 産業医科大学 第1外科

石倉 義弥 , 嶋津 明 , 小田桐 重遠 , 吉松 博 , 角谷 千登士*) , 大熊 隆介*)

(昭和60年10月2日受付)

I.内容要旨
下大静脈に限局した血栓はまれである.本症は44歳女性.右胸部,下背部痛により救急病院で胆石症を疑われ,エコー検査で胆石を確認したが,胸部X線写真でも右下肺野に索状陰影を認めたため本院に転院となつた.エコー検査で胆石の他に腎静脈と下大静脈に血栓を認め,CT検査,RIアンギオ,静脈造影などにより,腎静脈から総腸骨静脈分岐部にかけての巨大血栓を確認し,初発症状が肺塞栓によるものと診断した.アボキナーゼ,抗凝血剤投与により,肺の所見は改善し,下大静脈血栓も縮少したがなお残存したため,1カ月後に下大静脈を切開し,直視下に血栓を摘出した.血栓は白色血栓のみであつた.下大静脈の結紮は血栓の原因も不明であり,下肢静脈にも血栓を認めないため行わず,同時に胆嚢摘出術も行なつた.本疾患についてのEtiology,診断および治療につき検討を加えた.

キーワード
下大静脈血栓, 超音波検査, 肺塞栓

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