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日外会誌. 87(5): 572-580, 1986


原著

実験的肺移植(Cyclosporin A 使用)にみられる拒絶反応
-その組織学的検討-

*) 福岡大学 医学部第2外科
**) 長崎大学 医学部第1外科

白日 高歩*) , 川原 克信**)

(昭和60年7月18日受付)

I.内容要旨
成犬を対象として2種類の肺移植実験を施行した.A群は移値後長期に観察を加えた群,B群は移植直後から経時的に一側肺動脈閉塞試験を実施し移植肺の機能評価を行つた群である.A群ならびにB群の一部には,術後Cyclosporin AとAzathioprineを,B群の残りの犬には前2者に更にSteroidを加えた免疫抑制療法が実施された.組織学的な観察結果ではA群の犬では血管,気管支周囲,肺胞隔等に線維性変化がみられ,異型肺胞上皮の出現も観察された.B群では急性拒絶反応の組織像が主体で種々の程度に血管,気管支周囲の単核細胞浸潤が観察された.
A群,B群を通じて拒絶反応進行例では肺水腫,硝子膜形成迄観察されたが,免疫抑制療法が効果的で長期生存した例では組織障害は全く認められなかつた.B群の肺動脈閉塞試験の結果から血管炎の程度に応じて,肺動脈圧が上昇する現象が観察された.

キーワード
Perivascular mononuclear cell cuffing, Cyclosporin A, Acute rejection, Chronic rejection, Contralateral Pulmonary Artery (PA)-occlusion test

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