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日外会誌. 86(12): 1579-1583, 1985


原著

肉腫の予後因子に関する検討

大阪大学 第1外科
*) 大阪大学病院 病理部
**) 大阪警察病院 外科
***) 東大阪市立中央病院 外科

津森 孝生 , 中尾 量保 , 宮田 正彦 , 川島 康生 , 桜井 幹己*) , 金 昌雄**) , 南 俊之介***)

(昭和60年2月8日受付)

I.内容要旨
教室で経験した肉腫48例の発症年齢は15-80歳(平均年齢51.4歳),男性27例,女性21例であつた.原発部位は,四肢15例,躯幹13例,消化管11例,後腹膜7例,乳腺2例であつた.手術は所属リンパ節郭清を含む広範囲切除術を19例に,摘出術を22例に,姑息的切除術を5例に施行した.非切除は2例であつた.切除標本の組織学的分類では,平滑筋肉腫14例,悪性線維性組織球腫13例,線維肉腫6例,悪性神経鞘腫6例,脂肪肉腫5例,悪性血管外皮腫2例,横紋筋肉腫1例,悪性間葉腫1例となつた.組織学的分化度を加えたStage分類(TNMG分類)を行なつた所,Stage I 9例,II 16例,III 18例,IV 5例となつた.手術前後の補助化学療法を27例に施行した.
予後については3ヵ月-14年8ヵ月の間で生存27例,死亡20例(他病死1例),不明1例であった.術式では,姑息的切除,非切除例は予後不良であつた.また腫瘍摘出例では局所再発率が高く(70%),リンパ筋郭清を含む広範囲切除術を施行した症例が最も予後良好であつた.Stage別では,I,II期とIII,IV期との間には生存率に有意の差がみられた.化学療法施行例では奏効率28.6%であつたが,投与例と非投与例の間に生存率で有意の差はみられなかつた.

キーワード
肉腫, 非上皮性悪性腫瘍, TNMG 分類

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