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日外会誌. 86(7): 846-852, 1985
原著
胆嚢癌の形態
-とくに合併胆石の有無による相異について-
I.内容要旨癌と結石が同一臓器に高頻度に合併してみられる現象は胆嚢に特徴的といえる.そこで,胆嚢癌53例(早期癌11例,進行期癌42例)を対象に胆嚢胆石合併の有無による胆嚢癌形態に重点を置き,両者の相異について検討した.
早期癌の癌肉眼型は有石例(9例)が表面型を,無石例(2例)が隆起型を呈し,癌組織型は全例分化腺癌であつた.進行期癌では有石例(31例)および無石例(11例)ともに肉眼型の隆起型と浸潤型とはほぼ同数であつた.しかし,有石例は組織型が分化腺癌,粘液癌および腺扁平上皮癌であつて,そのうち肉眼型が浸潤型を示す16例は胆石嵌頓による胆嚢管閉塞を伴つていた.無石例では組織型が分化腺癌,粘液癌の6例は隆起型を,低分化腺癌,印環細胞癌の5例は浸潤型を示していた.
以上の成績より,有石例の胆嚢癌は組織型が分化腺癌,粘液癌,腺扁平上皮癌であつて,かつ肉眼型は隆起型を示すと考えられるが,合併胆石の直接的ないし間接的作用により半数以上が二次的表面型,浸潤型を呈するようになると思われる.他方,癌本来の発育形式を温存していると考えられる無石例では組織型が分化腺癌,粘液癌は隆起型を,低分化腺癌や印環細胞癌は浸潤型を呈していて,ことに後者の癌の組織型と肉眼型は無石例に特徴的であつて,真の浸潤型(一次的浸潤型)といえる.
キーワード
胆嚢癌, 胆嚢有石例, 胆嚢無石例, 癌の形態的相異
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