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日外会誌. 86(7): 819-827, 1985


原著

血管造影による陥凹型早期胃癌および陥凹型早期胃癌類似進行癌の深達度診断

1) 京都第二赤十字病院 外科
2) 京都第二赤十字病院 消化器科

東 健1) , 沢井 清司1) , 徳田 一1) , 吉田 俊一2) , 中島 正継2)

(昭和59年4月5日受付)

I.内容要旨
胃癌の外科治療,特にリンパ節郭清範囲の決定に際し,術前の正確な深達度診断は重要な問題である.
今回,著者らは深達度診断が困難な陥凹型早期胃癌と陥凹型早期胃癌類似進行癌68例に対し,血管造影による深達度診断能を内視鏡診断および病理組織所見と対比検討し,下記の結果を得た.
1)内視鏡による早期癌と進行癌の鑑別正診率は91%であり,①m,②sm,③pm以上,の3段階に分けた深達度の正診率は72%であつた.
2)血管造影による早期癌と進行癌の鑑別正診率は90%であり,①m・sm,②pm,③ss・se,④seiの4段階に分けた深達度の正診率は81%であつた.
3)早期癌類似進行癌を早期癌と誤診した読み不足例が,血管造影では8%であるのに対し,内視鏡では20%であった.
4)血管造影により早期癌類似進行癌の68%を①pm,②ss・se,③seiの3段階に分けて正しく診断し得た.
5)潰瘍併存病変は,血管造影により読み過ぎる傾向を示した.
6)未分化癌,間質反応がscirrhous,浸潤増殖様式がINFγであるものに,内視鏡,血管造影ともに診断困難な例が認められた.
7)適切な外科治療を行ううえに,術前の血管造影検査は有効であると考えられた.

キーワード
胃癌血管造影, 陥凹型胃癌, 胃癌深達度診断

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