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日外会誌. 86(5): 630-639, 1985


原著

腎性上皮小体機能亢進症の病理組織学的特性と臨床像

*) 名古屋第二赤十字病院 移植外科
**) 愛知県がんセンター病院 第3外科
***) 愛知県がんセンター研究所 第1病理(現,静岡県立総合病院病理検査科)
****) 名古屋大学 第2外科教室

冨永 芳博*) , 高木 弘**) , 鈴木 春見***) , 近藤 達平****)

(昭和59年8月16日受付)

I.内容要旨
慢性腎不全に合併する高度な腎性上皮小体機能亢進症50例に上皮小体摘出術を施行した.内41例で病理組織学的検討を加え,腎性上皮小体機能亢進症の病理組織学的特性を追求すると共に,臨床像との関連を検討した.
1.同一症例でも4腺の上皮小体過形成の腫大の程度,様式は,必ずしも均一でなかつた.
2.検討した41例158腺は腺腫3腺,過形成155腺で,過形成はdiffuse type(D type)とnodular type(N type)に分類できた.D type, 101腺65.1%,N type, 54腺34.8%であつた.平均重量はD typeは502.7mg,N typeは1576.3mgとN typeの方が有意に重く,脂肪組織も少なく過形成の程度は強かつた.
3.構成細胞はchief cell主体であつたが,D typeでは,dark chief cell優位であるのに対し,N typeでは,clear chief cell優位であつた.D typeに比しN typeの方がvacuolated chief cell,transitional oxyphil cellとoxyphil cellの占める割合が多かつた.
4.D typeの腺のみを有するD群16例とN typeの腺を1腺以上有するN群22例で術前臨床所見を比較した.平均C-PTHは,D群24.5ng/ml,N群50.4ng/mlとN群で有意に高く,骨X線写真による骨膜下吸収像の程度もN群で高度な傾向があり,N群の方が上皮小体機能亢進症の臨床像は進行していた.
以上より腎性上皮小体機能亢進症では上皮小体への刺激が持続すると,病理組織学的にはD typeよりN typeへと過形成の程度は進み,構成細胞ではclear chief cell,vacuolated chief cell,transitional oxyphil cell,およびoxyphil cellの頻度が増し,臨床的に機能亢進症の程度も高度となると考えられた.

キーワード
腎性上皮小体機能亢進症, 二次性上皮小体過形成, 上皮小体の病理組織検査

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