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日外会誌. 86(4): 464-469, 1985


原著

最近 8 年間に経験した急性虫垂炎118例の検討

川崎医科大学 総合臨床医学教室

藤田 渉 , 重本 弘定 , 西本 隆重 , 築山 邦規 , 宇賀治 陽一

(昭和59年6月11日受付)

I.内容要旨
川崎医科大学附属病院において昭和51年8月から昭和59年2月までの8年間に経験した急性虫垂炎118例についてA群: 15歳未満78例,B群: 15歳以上40例に分類し,また虫垂の肉眼所見からI群:カタル性35例,II群:蜂巣織炎性30例,III群:壊疸性24例,IV群:穿孔性29例に分類して臨床像を検討した.
穿孔例は15歳未満に多く93.1%を占めており,カタル性,蜂巣織炎性は女性に多く,壊疸性,穿孔性は男性に多くみられた.
自覚症状としては腹痛が96.6%で最も多くみられ,疼痛は発症時には特定の部位に集中する傾向はみられないが,初診時には76.3%が右下腹部に限局していた.次いで呕気または呕吐,発熱,下痢の順に多くみられた.理学所見では右下腹部の圧痛,rebound tenderness,腫瘤触知,筋性防御の順に多くみられ,病状の進行とともに腸性率が高くなつた.検査所見では体温,白血球数,腹部単純X線におけるsentinel loop signの陽性率が病状の進行とともに高くなつた.合併症は5.1%にみられ死亡例はなかつた.
小児の穿孔率は34.6%で発症後24時間を超えると穿孔率が有意に高くなり,成人の穿孔率は5.0%で発症後48時間を超えると穿孔率が有意に高くなるので小児の虫垂炎の診断は24時間以内に確定することが望ましい.

キーワード
急性虫垂炎, 小児虫垂炎, 腹痛, 穿孔

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