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日外会誌. 86(4): 424-434, 1985
原著
食道癌切除例のリンパ節転移に関する定量的および定性的解析
I.内容要旨食道癌切除例234例のリンパ節転移状況をn因子,転移個数,転移度,1症例当りの摘出リンパ節個数など,定量的および定性的に検討し,次の様な結果をえた.
1)リンパ節転移率は51.3%(120例/234例),転移度は15.9%(406個/2,548個),1症例当りの摘出リンパ節個数は10.9個であつた.
2)n因子と転移個数の間には相関関係があり,回帰式はy=0.65x+0.03(x=転移個数,y=n因子)であつた.
3)転移個数と転移度の間には相関関係があり,回帰式はy=5.6x+7.9(x=転移個数,y=転移度)であつた.
4)深達度が深くなるにつれて,リンパ節転移率,n因子,転移個数とも増大する傾向があつたが,有意の差は認められなかつた.
5)外膜浸潤の形跡はあるが,術前合併療法によつて外膜から癌が消退したと考えられるR-a
0癌はリンパ節転移率が低く,遠隔リンパ節転移も少なかつた.また,1症例当りの転移個数が少なく,転移度も低かつた.逆に,外膜切離面に癌が露出しているa
3癌は転移率が高く,遠隔リンパ節転移も多かつた.また,1症例当りの転移個数が多く,転移度は高かつた.
6)術前照射の有無で,転移率や転移度に差がなく,遠隔リンパ節転移の頻度もほぼ同じであつた.しかし,術前照射例では1群リンパ節の転移度が低かつた.
7)n因子,転移個数,転移度のいずれも予後との関係が深いことが示された.
8)1症例当りの摘出リンパ節個数の多少により予後に差があり,郭清の程度が予後を反映することが示された.
キーワード
食道癌のリンパ節転移, 食道癌のリンパ節群分類, 食道癌の遠隔治療成績, リンパ節転移率とリンパ節転移度
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