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書誌情報]
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日外会誌. 86(3): 339-349, 1985
原著
Donor specific blood transfusions(DST)によつて腎移植予定患者血清中に誘導される MLR 抑制因子の免疫学的解析
I.内容要旨DSTによつてもたらされる移植腎生着延長効果のメカニズムを明らかにする目的で,DST前後における腎移植予定患者の免疫応答能の変化をMLR,CML,MLR抑制試験を用いて検討するとともに,DST施行群(n=10)とDST非施行群(n=26)の腎移植成績を比較検討した.
1)急性拒絶反応の頻度はDST施行群とDST非施行群との間に有意差はみられなかつたが,DST施行群ではDST非施行群に比較して拒絶反応の程度は軽度で,1年生着率に有意差を認めた.
2)DST前後でMLR,CMLを比較すると,MLRは9例中6例に低下傾向を認め,3例に上昇を認めた.また,CMLでは6例中3例に低下を認め,3例に上昇を認めた.
3)MLR抑制試験ではDST施行後70%の症例にMLR血清抑制因子が誘導され,DST前後でのMLR,CMLの推移および早期予後と良い相関性を示した.
4)このMLR血清抑制因子は自己リンパ球に向けられており抗原特異性を有し,その活性は主にIgG分画に存在した.
5)以上のような免疫学的特異性を有するMLR血清抑制因子は,1ないし2回のDSTでは見出されず,3回のDSTを経て誘導されることが明らかとなつた.
以上の結果より,腎移植予定患者血清中には3回のDSTすなわち,均一な同種抗原で繰り返し免疫することにより抗イディオタイプ抗体の誘導されることが示唆され,移植腎生着延長効果に重要な役割を演じていることが推測された.
キーワード
腎移植, Donor specific blood transfusion, MLR 血清抑制因子, 抗イディオタイプ抗体
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