[
書誌情報]
[
全文PDF] (4921KB)
[会員限定・要二段階認証][
検索結果へ戻る]
日外会誌. 86(3): 258-265, 1985
原著
OK-432に対する Delayed Hypersensitivity と抗腫瘍効果
第 2 報 OK-432腫瘍内投与による抗腫瘍効果と遅延型過敏反応との関連について
I.内容要旨溶連菌製剤であるOK-432は,免疫賦活剤の1つとして広く臨床に用いられており,ことに最近は,OK-432の局所療法が注目されている.しかし,その作用機序に関しては不明な点が多く,また,その抗腫瘍効果も決して満足すべきものではない.本研究は,OK-432に対する宿主の遅延型過敏反応の程度とOK-432の腫瘍内投与による抗腫瘍効果の関連を明らかにし,あわせてOK-432の前感作施行により,OK-432の抗腫瘍効果が増強されるか否かを検討したものである.
1)BALB/cマウスをOK-432,2KEで感作し,その1または2週後に,メチルコラントレン誘発の同系腫瘍MethA fibrosarcoma(MethA)2×10
5細胞を皮下に移植し,移植後1週目よりOK-432 1KEを隔日に5回腫瘍内投与して,OK-432の前感作がその抗腫瘍作用に及ぼす影響を対照群と比較検討した.その結果,①OK-432腫瘍内投与による抗腫瘍作用は,OK-432前感作により明らかに増強された.②OK-432を腫瘍以外の部位に投与した場合には,OK-432前感作による抗腫瘍作用の増強は認められなかつた.③OK-432腫瘍内投与による抗腫瘍効果は,OK-432に対するDHの強い感作後2~3週目に著しく増強した.
2)OK-432投与局所の組織標本について,H.E.染色,β-D-galactosidase(マクロファージ)染色および抗asialo-GM
1抗血清(活性化マクロファージ)と抗T細胞抗血清(T細胞)の酵素抗体法を施行した.その結果OK-432投与後48時間目の組織では,①腫瘍細胞の変性,および炎症細胞の浸潤が認められたが,OK-432で前感作したマウスにその変化は著しかつた.②β-D-galactosidase染色で,腫瘍およびその周辺の間質にマクロファージの集積を認めたが,OK-432の前感作によりマクロファージの集積は明らかに増加した.③OK-432で前感作したマウスでは,腫瘍周辺の間質および腫瘍変性部位に,数多くの活性化マクロファージが認められたが,非感作マウスではきわめて少なかつた.④T細胞は腫瘍周辺の間質に少数認められたにすぎず,OK-432による前感作の影響もみられなかつた.
キーワード
OK-432, Delayed hypersensitivity, 抗腫瘍作用増強効果
このページのトップへ戻る
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。