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日外会誌. 85(12): 1523-1527, 1984


原著

食道静脈瘤硬化剤 Ethanolamine Oleate 注入後の体内分布に関する研究

埼玉医科大学 第1外科
*) 埼玉医科大学 放射線科

鋤柄 稔 , 田口 泰 , 山崎 達雄 , 古賀 和美 , 宮前 達也*) , 尾本 良三

(昭和59年3月5日受付)

I.内容要旨
本研究の目的は食道静脈瘤硬化剤Ethanolamine Oleate(EO)の血管内注入intravariceal injection(IVI)後の体内分布を知ることである.
血管造影剤meglumine diatrizoateを含む5%EOが静脈瘤7症例に計9回,又,99mTcO4-液を含んだ4.5%EOが静脈瘤4症例に計5回,それぞれ内視鏡的に血管内注入された.1回当りの注入量は前者が7〜30ml,後者は10〜20mlであった.血管内注入の確認および追跡は前者がX線透視とX線撮影にて,後者はシンチカメラによった.
造影剤を含むEOが血管内注入されると,静脈瘤~胃冠状静脈が造影されたが, 3分後には同部から消失していた.これら局所から消失した硬化剤のほとんどは門脈~肝を経て全身に散布されることが99mTcO4-を含むEOの注入によつて確認された.散布は4〜5ml注入時点で既に認められた.20ml以上の注入例では奇静脈系を介しての散布も1/3の症例に於て認められた.
局所に残るEOは少量であるにも拘ず,静脈瘤は硬化,退縮を示した.

キーワード
肝硬変, 食道静脈瘤, 内視鏡的硬化療法, 硬化療法の合併症

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