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日外会誌. 85(10): 1301-1307, 1984
原著
急性肝阻血の病態特にセロトニン及びヒスタミンの動態について
I.内容要旨肝不全そして肝性脳症へと至るメカニズムを検討するため,雑種成犬にて急性肝阻血を作成し,血中NH
3,血中及び肝組織のTryptophan (Trp)-Serotonin (5-HT) 経路,血中ヒスタミンそして血漿アミノ酸の動態を検討した.肝阻血を3群に分け,肝動脈遮断のみをI群 (n=6),肝動脈及び門脈遮断をII群 (n=6),そして予めportocaval shunt (PCS) を施行し肝動脈及び門脈遮断をIII群 (n=10) として遮断時間は30分,その後解除した.上記生化学的変化を遮断前,遮断後15,30分そして解除後30,60,120分値を検討した.血中NH
3は遮断によりII及びIII群にて著明な増加をみた.血中5-HTはI,II群では増加がみられ,III群では減少がみられた.肝Trp及び5-HTは肝阻血によりII及びIII群とも著明な増加がみられた.血漿ヒスタミンの増加がII及びIII群にてみられ活性化が示唆された.血漿アミノ酸は短時間の為か殆んど変化はみられなかった.以上,急性肝阻血においては,肝血流減少及び腸管うつ血などにより容易にvasoactive aminesの変動がみられ,全身の微小循環に影響を及ぼし,肝障害の増悪ひいては肝不全へ至るものと示唆された.
キーワード
急性肝阻血, 急性肝不全, tryptophan, serotonin, histamine
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