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日外会誌. 85(7): 694-704, 1984
原著
ヌードマウス可移植性ヒト胃癌並びに結腸癌株に対するマイトマイシンC感受性に関する実験的研究
-in vivoおよびin vitroの細胞動態解析を中心として-
I.内容要旨ヌードマウス可移植性ヒト消化器癌4株を用いて,腫瘍のmitomycin C (MMC) 感受性を細胞動態の面より解析した.用いた腫瘍は胃癌2株(St-4;低分化型腺癌,St-40;高分化型腺癌),結腸癌2株 (Co-3;高分化型腺癌,Co-4;低分化型腺癌) である.
in vivo感受性試験はBALB/c nu/nuマウスを用い,対照群に対する治療群の相対平均腫瘍重量比 (T
RW/C
RW) で判定した.in vitro感受性試験は単離細胞の初代短期培養における
3H-チミジン (
3H-TdR) の取り込み法を用い,対照群のカウントに対する治療群の50%取り込み抑制MMC濃度で判定した.細胞動態はin vivoでは
3H-TdRで標識した腫瘍のオートラジオグラフィーより得たpercent labeled mitosis curveの解析を行ない,in vitroでは初代短期培養における
3H-TdRの取り込み量を検討した.
in vivoにおける MMCの効果は (T
RW/C
RW値で示すと,St-4;65.0%,St-40;7.3%,Co-3;71.9%,Co-4;13.8%であつた.一方,in vitroのMMC感受性は50%取り込み抑制MMC濃度でみると,St-4;0.25μg/ml,St-40;0.29μg/ml,Co-3;0.6μg/ml,Co-4;0.04μg/mlであつた.St-4ではin vivoとin vitroの感受性は一致しなかつた.各株のin vivo細胞動態パラメーター中growth fraction (GF) はSt-4;48.3%,St-40;100%,Co-3;34.8%,Co-4;99.8%であり,T
RW/C
RW値と極めて高い相関を示した〔r=-0.994, (p<0.01)〕.他のパラメーターではS期時間,次いでLabeling indexとに相関傾向を認めた.in vitro細胞動態の検討では,St-4が初代短期培養によりin vivoの増殖休止系細胞が増殖系に移行し,GFが増加したためSt-4はin vitroではSt-40と同様の感受性を示したと考えられた.腫瘍の感受性を決定する因子は多元的と考えられるが,MMC感受性にはGF細胞の多寡が最も関与することが示唆された.
キーワード
ヌードマウス可移植性ヒト癌, MMC感受性, 細胞動態, growth fraction (GF)
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