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日外会誌. 85(6): 548-554, 1984
原著
DNA Histogramからみた食道早期癌および食道表在癌の検討
I.内容要旨深達度smまでの食道癌は,リンパ節転移の有無により,極めて対照的な遠隔成績を呈することが知られている.我々は,リンパ節転移陰性例を食道早期癌,リンパ節転移陽性例を食道表在癌とし,通常の病理組織学的検索では困難であった両者の鑑別点を,原発巣のDNA Histogramの解析によつて検討した.
検索対象症例は,教室の食道早期癌16例中9例と食道表在癌11例中8例で,原発巣にFeulgen染色を施し,顕微分光測光法により,DNA Histogramを作成した.
DNA Histogram patternは,三戸の分類によると食道早期癌では全例がI型に,食道表在癌では4例がI型に4例がII型に分類され,必ずしも,予後と併行せぬ結果を得た.しかし,DNA平均値,Tetraploid以上の細胞出現頻度,および,これら両値の積の3項目では.いずれも有意の差を認めることができた.
DNA Histogramの解析は,食道早期癌と食道表在癌の鑑別に際し,新たな視点を与えるものであり,単に両者の予後判定に有力な資料となるばかりでなく,術前生検材料を用いた検索を加味することにより,食道早期癌と食道表在癌の術前鑑別や,合併療法の選択に際し有力な指針を与えるものと考えられる.
キーワード
DNA Histogram, 食道早期癌, 食道表在癌
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