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日外会誌. 85(4): 392-397, 1984
原著
非破裂大型𦜝帯ヘルニアに対する中條法の経験
-新生児6治験例ついて-
I.内容要旨中條法はlarge intact omphaloceleに対するSchuster法の変法である.その相違点はSchuster法が初回手術に際し皮膚切開を加えSilastic Sheetを腹直筋に縫着するのに対し,本法は皮膚切開を置かず,単にヘルニア嚢周囲の皮膚に縫着するのみである点である.このため,初回手術は局麻で十分であり,侵襲も少く,著しく簡略化されることになった.またヘルニア嚢(羊膜)は温存されるため,腸管を損傷する危険はない. silastic sheetの縫縮および腹壁の直接閉鎖はSchuster法と変らず,腹腔拡大効果は全く同じである.
われわれは新生児の本症6例に対し中條法を追試し,全例を救命し得た.
これらの症例に対して,初回手術は全例局麻下に行い,2~5回のsheet縫縮は無麻酔で行った.縫縮には滅菌したホチキスを使用し,一層の簡便化を計つた.初回手術後5~10日でsheetを除去し,腹壁の直接閉鎖を行ったが5日ではやや時期尚早で,7,8日位が適当と思われた.腹壁閉鎖は2層縫合が原則であるが,條件の悪い3例には1層縫合(皮膚と腹膜のみ)が行われた.そのうち1例に7カ月後再手術を行い,改めて2層縫合を行ったがGross法の後の再手術とは全く異なり,腹壁の発達は良好で術後の呼吸管理も不要であった.
感染に関しては,全く安全とはいえず,3例に敗血症の症状がみられたが,いずれも腹壁閉鎖後約1週頃に起つたもので,すでにsilastic sheetは除去されたあとであり,管理は容易で,約1週後にはいずれも軽快した.
本法の適応はlarge intact omphaloceleで腹腔内に腸閉鎖等の合併奇形がないものであり,保存的療法適応症例の多くが含まれる.すみやかに安全圏に運ぶという点ではすぐれた方法と思われる.
キーワード
𦜝帯ヘルニア, Omphalocele
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