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日外会誌. 85(4): 356-362, 1984


原著

膵大量切除後発症する糖尿病の病因
-特にラ島細胞動態について-

金沢大学 第2外科

米村 豊 , 高島 達 , 松木 伸夫 , 萩野 茂 , 沢 敏治 , 高島 茂樹 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(昭和58年6月18日受付)

I.内容要旨
膵大量切除後発症する糖尿病の病態をラットを用いラ島機能・細胞動態から検討し以下の結論を得た.
ラットでは90%膵切除により12週後糖尿病の発症をみた.これら糖尿病発生ラットは高度のインスリン分泌低下とグルカゴン分泌亢進をみとめた.3H-TdR ARGによるラ島細胞動態の検索で再生細胞の大部分はB 細胞であるがA 細胞にも再生像が観察された.90 %膵切除群は術後5・14 日を中心とする2相性再生をみ,第2の再生期以降からB細胞の変性をみとめるようになり12週ではラ島の高度の萎縮,A・B・D細胞配列の乱れがみられた.一方,60 %膵切除群ではラ島の変性,改築を終始みなかつた.
以上より膵切除量が90%を越えると糖代謝を代償するに十分なB細胞の修復再生はみられず,残存B細胞および再生B細胞に対するブドウ糖等の過剰な刺激が加わり,B細胞変性,崩壊が再生を上回り糖尿病へ移行するものと考えられた.

キーワード
Langerhans氏島再生, 膵autoradiography, 酵素抗体法, Sand meyer型糖尿病, 膵大量切除

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