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日外会誌. 85(3): 206-217, 1984


原著

担癌マウス脾細胞を使用した白血球遊走阻止反応およびそれを利用した免疫化学療法剤投与法に関する実験的研究

名古屋大学 医学部第2外科(主任:近藤達平教授)

梅田 哲正 , 小島 崇司 , 亀井 秀雄 , 近藤 達平

(昭和58年5月13日受付)

I.内容要旨
純系担癌マウス脾細胞を使用した白血球遊走阻止反応(LMI)をClausenの方法に準じて行い,同系マウスより作ったMethylcholanthrane induced tumor (C3M2) で剌激した脾細胞は,C3M2を抗原とした時,抗原非添加群に比べ有意に白血球遊走を阻止し (p<0.005),またC3M2と,同系マウス由来の自然発生腫瘍(MAC)との間に交叉性は認められなかつた.
ついで,Cyclophosphamide (CPA),Protein Polysaccharide (PSK) 投与の影響及び投与方法につき検討した.
CPA 50mg/kg,200mg/kgの一回投与はLMIを抑制した;PSK 250mg/kg 4日間連続投与はLMIを亢進した.
次にCPAとPSKとの併用投与のLMIに対する影響をみた.
CPA 50mg/kg投与群においては,CPA投与後にPSK 250mg/kgを投与した場合に,CPA単独投与に比し,有意に遊走阻止を認めたが (p<0.005),前にPSKを投与した場合は,単独投与と有意差がなかつた.
一方,CPA 200mg/kg投与群では,CPA投与前にPSKを投与した場合に,CPA単独投与に比し,有意に遊走阻止を認めた (p<0.005).
これらの事から,化学療法剤と免疫賦活剤の併用療法において,LMIよりみた場合,化学療法剤による副作用の発現が,免疫賦活剤との投与順序によつて異なり,また各薬剤の投与量によつても異なつてくる事が示唆された.

キーワード
マウス脾細胞, 白血球遊走阻止反応, 免疫化学併用療法

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