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日外会誌. 85(2): 175-181, 1984
原著
乳管内乳頭腫からの癌発生に関する研究
I.内容要旨乳管内乳頭腫からの癌発生とその部位を明らかにする目的で,乳管腺葉区域切除術で得られた乳頭腫16例を3次元復構した結果,4例に乳管癌の共存を認めた.
(1) 乳頭腫の孤立性,多発性別では孤立性6例中1例(16.7%)に対し,多発性10例中3例(30.0%)と,多発性乳頭腫が高い癌の共存率を示した.
(2) 発生部位別では末梢乳管 (terminal duct lobular units, TDLU)より発生した乳頭腫では11例中4例(36.4%)に癌の共存をみたのに対し,中心乳管 (large ducts)より発生した乳頭腫5例では癌の共存を認めなかった.
(3) 乳頭腫と癌は乳管内で連続し,また,1例ではあるが,きわめて微小な癌を乳頭腫内に認めた(cancer in papilloma)ことから,乳頭腫が重要な前癌病変であることが裏付けられた.
(4) 乳管内癌はすべてTDLUから発生しており,TDLUは多発性乳頭腫のみならず癌の発生部位であることが示された.
(5) 癌発生を伴った1例の孤立性乳頭腫は乳輪下からでなく,末梢(TDLU)から発生したものであった.したがつて前癌性性格の有無から乳頭腫を取り扱うにあたつては,従来の孤立性,多発性の分類より,発生部位別に中心性,末梢性のいかんによる分類が合理的と思われた.
キーワード
乳管内乳頭腫, 乳管癌, 癌の発生部位, 3次元復構
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